9月の終わりころ、出雲の国を訪れました。(2012年9月20~22日訪問)
出発当日の夜、仕事帰りに横浜駅から寝台特急「サンライズ出雲」に乗り込みました。
寝台はすべて個室でいろいろなタイプの部屋があることと、現在では貴重な夜行寝台列車ということでシーズンを通して利用率の高い列車となっています。
東京から出雲市まで約12時間の夜行列車の旅が始まります。
22時24分、横浜駅を出発しました。今回利用したのはシングル(B寝台)のお部屋。
横浜を出発すると5分ほどで自宅の最寄り駅を通過し、いよいよ旅立ちモードが高まりました。
夜行列車を利用するのは10年以上ぶりで、流れる街灯りや駅の灯りをぼんやり眺めながら、久しぶりの夜汽車の旅情を満喫しました。
そして、あまり眠れないまま朝を迎え、
カーテンを開けるとちょうど夜明けの時間。
朝ぼらけの風景の中を列車は走っていました。
そして6時27分、岡山駅に到着しました。
岡山駅では併結しているサンライズ瀬戸号(高松行)を切り離します。
大勢のギャラリーが見つめる中、
サンライズ瀬戸号が瀬戸大橋を超えて高松を目指し先に出発していきました。
倉敷を出ると伯備線に入ります。伯備線は山陰((伯耆国)山陽(備中国)を結ぶ陰陽連絡路線の一つで、中国山地を越えて進んでいきます。
美しい渓谷を見ながら、
中国山地を超え、日本海側へと走っていきます。
山陰側の米子に着くと、気動車が並び、
転車台も残るなどローカル色豊かな車窓が続きます。
そうして横浜から約11時間半、9時58分に出雲市駅に到着しました。久しぶりの夜行列車でしたが、かなり快適に過ごすことができました。
まずはともあれ出雲大社へ。
日本一の大鳥居、一の鳥居をくぐり参道を進んでいきます。
途中、一畑電鉄の出雲大社前駅を通り、
門前のお蕎麦屋さんで出雲そばをいただいたあと、
いよいよ出雲大社の参拝へと向かいました。
勢溜の木の鳥居、二の鳥居をくぐって、
緑の美しい参道を歩いていきます。
二の鳥居の先はなだらかな下り坂になっていて、
その先に松の参道の鉄鳥居、三の鳥居が見えています。
背後の山々と調和した美しい風景の中を歩き、
三の鳥居に到着しました。
三の鳥居から続くのは緑美しい松の参道。
中央の参道は皇族や勅使の通った神聖な道ですので、左右の参道を歩きます。
参道を進むと、左側に因幡の白ウサギの話で有名な神話の場面を再現した「御慈愛の御神像」がありました。
そして右側には「ムスビの御神像」。大国主命が海神から「幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)」を授かった神話の場面を再現しています。
そしていよいよ神々の国、出雲の地の象徴でもある出雲大社の社殿にお参りします。八雲山を背にした神域は森厳な空気が流れ、その中に数千年もの歴史を持つ神殿が厳かに立っています。
まずは手水舎で手と口を清め、
最後は銅の鳥居、四の鳥居をくぐります。
境内に入って正面に見えてくるのが、
御仮殿です。
昭和34年に出雲大社の拝殿として再建されましたが、現在、平成の大遷宮のため平成25年5月まで御祭神の大国主命はここにいらっしゃいます。
出雲大社と言えばこの大きな注連縄(しめなわ)。出雲大社の注連縄は通常の注連縄とは逆に、しめ初めが左側からである「逆注連縄」としても有名です。
さっそくお参りさせていただきました。
こちらのお参りのお作法は、他の神社とは少し異なり、「二礼四拍手一礼」となっています。
この日も多くの方がお参りに来られていましたが、日本屈指のパワースポットだけあって特に女性の方が多かったです。
本殿は平成の御遷宮のため檜皮のふき替えなどの修造中。来年の5月に遷座祭が行われ御祭神の大国主命が戻られます。
続いて境内西にある神楽殿へ。
こちらにあるのが国内最大級の大注連縄。長さ約13.5m、重さ約4.4tあり、水田約1.5ha分の稲わらが使われているそうです。今年、4年ぶりに新しくかけ替えられました。
出雲大社のお参りを終えた後は境内のとなりにある「島根県立古代出雲歴史博物館」を見学しました。これは、10世紀に「雲太」ともよばれる高さ16丈(約48m)という日本一高大な本殿があったという学説に基づく縮尺1/10の模型です。中心の柱(心御柱)の直径は約3.6m、階段の長さは約109mという天空の神殿が本当に実在したのか、いにしえの出雲大社の姿に思いを馳せました。
また、その形には諸説あり、それぞれの模型も飾られていました。
訪れた時期はちょうど「神話博しまね」が開催されており、ステージでは島根県の観光キャラクター「しまねっこ」が登場していました。
2010年に登場した島根のゆるキャラです。ねこの頭にお社が乗っかっています^^;
なかなか可愛かったです^^(お姉さんも)
出雲大社の参拝を終えて門前のこちらのお店で休憩タイム^^
出雲ぜんざいをいただきました。出雲はぜんざいの発祥の地と言われ、出雲地方の「神在(じんざい)餅」が出雲弁(ずーずー弁)で訛って「ずんざい」、さらには「ぜんざい」となったと言われています。なお、ぜんざいの語源にはもう一つあって、京都で
一休さんが最初に食べたとされ、あまりの美味しさに「善哉(ぜんざい、よきかなとも読む)」と叫んだとする説もあるそうです。
出雲ぜんざいは、出雲産の大納言小豆を使ったぜんざいに、腰の強い紅白の白玉団子が入っており、控えめな甘さとホクホクのぜんざい、モチモチの白玉の食感が美味しかったです。
ぜんざいをいただいた後は、出雲大社からほど近い稲佐の浜へ。
出雲大社の西にある海岸で、国譲り、国引きの神話で知られる浜です。
ちょうど日本海に夕日が傾く時間帯。空も少しずつオレンジへと変わり、
寄せる波も穏やかで、
浜辺にはどこか神聖な空気が流れているようでした。
弁天島にある祠には豊玉毘古命(とよたまひこのみこと)が祀られています。
神話の浜辺、稲佐の浜でいにしえの出雲に思いを馳せたあとは、
海を望む谷あいに立つ日御碕神社を見下ろし、
日御碕灯台へ。
高さ43.65m、石積みの灯台としては東洋一の高さを誇る日御碕灯台が日本海の夕暮れの海に溶け込むように立っていました。